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『この夏の星を見る』原作の感想と見どころ|映画化前に知りたい登場人物と魅力

sasamo
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2025年7月4日、辻村深月さん原作の青春小説『この夏の星を見る』が映画としてスクリーンに登場します。

舞台は2020年、コロナ禍という未曾有の状況に見舞われた日本。

誰もが不安を抱え、声を出すことすらためらわれる時代に、それでも“星を見上げる”という行為を通じてつながっていく若者たちの姿が描かれます。

本記事では、原作を読んだファンの視点から、その感想と見どころを語りつつ、映画版に期待するポイントや、登場人物の関係性、ロケ地の雰囲気まで掘り下げていきます。

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失われた時間を星でつなぐ──3人の主人公たち

物語は、異なる地域で生きる3人の中高生の視点から語られます。

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の2年生で天文部に所属。
星を愛しながらも、コロナ禍で中止になる合宿やイベントに胸を痛めている少女です。

真宙は東京・渋谷区立ひばり森中学校の1年生。
たった一人の男子新入生という立場に戸惑い、「このままコロナが続けばいいのに」と投げやりな気持ちを抱いています。

そんな彼も、リモート会議で星を見るという新たなつながりに出会っていきます。

そして、長崎・五島列島に住む円華は高校3年生。

旅館の娘であり、コロナによる県境をまたぐ宿泊客の存在が、彼女と親友との間に距離を生みます。

孤独の中で、誘われるまま天文台を訪れたことが、彼女の心を揺り動かす始まりとなります。

それぞれの土地、それぞれの葛藤。

それでも「星を見上げる」という行為が、3人の心を静かに結びはじめるのです。

スターキャッチコンテスト──離れていても、同じ空の下

「スターキャッチコンテスト」は、望遠鏡でいかに早く星を捉えられるかを競う、天文部の象徴的なイベントです。

作中では、この大会がコロナの影響で中止になるかもしれないという不安と向き合う姿が描かれます。

しかし、生徒たちは諦めません。

リモート会議という技術を駆使し、離れた場所から“同時に星を見る”という挑戦に踏み出すのです。

これはただの競技ではなく、「繋がること」の象徴であり、希望の証でもあります。

この設定が映画の中でどのように描かれるのか、注目が集まります。

実際に全国の天文部員がスクリーン越しにひとつになるシーンは、まさに“いま”だからこそ響く演出になるでしょう。

映画化によって息づく「静かな感情」

監督は商業映画初監督となる山元環さん。脚本は森野マッシュさん、音楽は『ルックバック』で注目を浴びたharuka nakamuraさん。

フレッシュな制作陣が、辻村作品の繊細な世界観をどう映像化するのか、大きな期待が寄せられています。

主演の桜田ひよりさんは、主人公・溪本亜紗を演じます。

実際に物語の舞台である高校で撮影が行われたこともあり、よりリアルな空気感が伝わることでしょう。

マスク越しでも“感情が伝わる”演技という挑戦も、この映画の大きな見どころのひとつです。

監督は、「マスクで表情が隠れても、人の想いは伝わる」と語ります。

マスク越しに浮かび上がる瞳、声の響き、間の取り方──それらすべてが感情の媒介として機能する映画表現。

これはコロナ禍を通った私たちにとって、特別な共感をもたらすはずです。

登場人物の関係図──交差し、支え合い、広がる心の輪

この作品では、3人の主人公たちが直接顔を合わせる場面は少なく、基本的には遠隔でのつながりが中心です。

それでも、画面越しに交わされる言葉や、星を見上げる時間を共有することで、心が少しずつ近づいていく過程が描かれます。

亜紗と真宙、円華たちが織りなす“関係図”は、まるで星座のようです。

個々は離れていても、線が引かれることで何か意味を持ち始める。

物語の後半にかけて、登場人物たちが互いを“誰かの光”として見出す展開は、まさに本作の核心と言えるでしょう。

ロケ地予想と映像への期待──「ありふれた景色」の特別さ

本作の舞台は、茨城、東京、長崎の3地域。実際にロケ地として使われた学校なども存在するという点は、作品のリアリティを一層引き立てます。

地方の静かな住宅街や、港町の夕暮れ、都会の中でふと見上げる星空──。

映画ならではの映像美が、物語の“温度”を高めてくれるはずです。

haruka nakamuraさんによる音楽も、風の音や沈黙の時間を引き立てるように設計されていることでしょう。

観る者の心に、静かに響くような演出が期待されます。

辻村深月という作家──“見えない心”をすくい上げる人

『この夏の星を見る』を語るとき、やはり辻村深月さんという作家の存在に触れずにはいられません。

彼女の作品には一貫して、“言葉にならない感情”をすくい上げる視点があります。

派手な展開や衝撃的なラストではなく、むしろ日常のなかに埋もれてしまいそうな小さな「心の揺れ」を、丹念にすくい上げて物語に変えていく。

ツナグ』『かがみの孤城』『名前探しの放課後』──どれも、一見すると普通の青春小説やミステリーの形をしていますが、読後に残るのは“癒し”や“肯定感”のような温かな感情です。

そして『この夏の星を見る』もまた、そんな辻村作品らしい“そっと寄り添う物語”のひとつだと感じています。

彼女が描く「星」は、ただの象徴ではありません。
心のなかにある“確かに存在するけれど、誰にも見せられない痛みや希望”を、私たちに見えるかたちで照らしてくれるものなのです。

だからこそ、辻村深月という作家をまだ知らない人にも、この作品をきっかけに知ってもらえたら──。それはきっと、とても素敵な出会いになるはずです。

まとめ──“この夏”を、きっと忘れない

「こんな夏、もう二度と来てほしくない」
「でも、あのときだから出会えたものがある」

2020年のコロナ禍。誰もが不自由で、息苦しかったあの時間を、忘れたいと思う人もいるかもしれません。

けれど、そのとき、きっと誰もが自分の“心の声”と向き合っていた。そんな時代に、星を見上げるという選択をした若者たちがいたことを、この映画はそっと教えてくれます。

『この夏の星を見る』は、きっとあなたにも、「あのときの自分」と出会わせてくれる作品です。

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